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今月のオススメNo.1シネマ

村上 豊(桐朋女子中・高等学校教諭)


『落穂拾い』

 今月はドキュメンタリー映画を。アニエス・ヴァルダと言えば、名作『シェルブールの雨傘』の故ジャック・ドゥミ監督の奥さんで、『歌う女・歌わない女』『冬の旅』等で知られる女流監督である。
 この『落穂拾い』は、ヴァルダ監督がパリの市場に落ちている様々な物を拾っている人を見て、想を得たとのことであるが、彼女はカメラを片手にフランスの田舎や都会を次々と訪れる。収穫後に残ったジャガイモを大量に拾う人々、ブドウの落穂拾いを禁止するブルゴーニュ、逆に歓迎されるリンゴ農園の様子、香草を採りに行く若きシェフ、廃品やゴミを集めて作品にしてしまう芸術家等々、現代フランスの社会と生活の多様性がくっきりと描かれていて、とても興味深い。が、その一つひとつを見ているうちに、大量生産社会の矛盾や問題が次第に浮かび上がり、じんわりと伝わってくる。
 自らも驚きつつ、様々な映像をつづっていくヴァルダ監督の眼差しはあくまでも優しいが、社会と人生に対する的確な批評と愛情が感じられる名作である。

『落穂拾い』
(2000年 フランス映画 82分)
監督 アニエス・ヴァルダ
(ドキュメンタリー)