今月のオススメNo.1シネマ
村上 豊(桐朋女子中・高等学校教諭)
『約束(ラ・プロミッセ)』
第4次中東戦争を描いた『キプールの記憶』、中堅会社の社長が舞台女優に惚れてひと騒動の『ムッシュ・カステラの恋』、名作『オセロ』を現代の高校バスケットボール・チームの話に置き換えた『O[オー]』等、小粒ながら見応えのある作品とともに12月22日に公開される『約束〈ラ・プロミッセ〉』を。
主人公は小児ガンの10歳の少年。病院の中を走り回る悪ガキだが、それはまるで病気のことを振り払い、「生きたい」と叫ぶかのように見える。ある日、高齢者病棟に忍び込んだ少年は、一人の老人に出会う。70歳のこの老人、意識は明晰でしかも結構な皮肉屋だが、実はアルツハイマー病で体を動かすこともできず喋ることもできず、失われる記憶とともに生きる意欲を失い、臆病になっている。 無茶苦茶とも言える少年のパワーが老人の心を次第にほぐし、対照的な二人が次第に支えあって・・、という展開。瞬きと微かな口の動きで心の内を表す老人役のミシェル・セローが実に良い。日本にもこうした老優を活かす映画を、と思う。