今月のオススメNo.1シネマ
村上 豊(桐朋女子中・高等学校教諭)
『千年の恋 ひかる源氏物語』
公開は12月半ばだが、今月は紫式部の名作を映画化した『千年の恋 ひかる源氏物語』を。原作『源氏物語』は登場人物も膨大で様々な話が展開されるが、著名な作家が多様な訳本を生み出していることもあり、読者も数多い。誰しもが知っている話を映像化するのは難しいものだが、この作品は現実の世界と架空の世界をそれぞれ独自に展開させながら、渾然一体の結末までの流れを作りだしている。つまり、作者の紫式部と藤原道長とのエピソードを重要な支流として織り交ぜながら、光源氏を主人公とする『源氏物語』を大胆に構成し直して本流に据えた映画になっているのである。
紫式部役の吉永小百合は若々しく見栄えのする演技。ノーブルな顔だちとすっきりとした立ち居振る舞いの天海祐希が光源氏のイメージに良く合っていて、好演。さすがに宝塚のトップスターとして多くのファンを魅了しただけはある。紫の上役の常盤貴子はやや固い印象で惜しい。三度も出てくる松田聖子には興ざめだが、多彩な配役と美術が楽しめる。