おいでおいでをする手
狛江むかし話の会 福井昌子さん
裕と由美子は今日も根川の辺りをゆっくりと歩いてます。狭い歩道の脇には植えてから30年以上経っている桜の木がどっしりとたっていて、一年に一度、華やかに咲く花は、素晴らしい花のトンネルを作り、方々からわざわざ観に来る人も大勢いてそれはそれは賑やかです。
これは2人がおばあちゃんから聞いた話。
桜の木が植えられる少し前までは、根川には綺麗な清い水が流れていたのだそうです。自然に砂を突きやぶって湧き出してくる清水を使って洗濯をしたり、畑で採れる野菜を洗ったり…………と、近くに住む人達にとって川は生活の場でした。
時が流れて家が沢山建ちました。水脈が断ち切られ、近くに大きな団地も建ち、暫くはどぶ川の様になってドロドロと濁った水がゆっくりと流れていました。その頃に起ったことでしょう。
調布市と狛江市の堺から、数えて二番目にあたる根川に架かる橋の近くに、どっしりと立っている大きな桜の木があり、数年前までその木の幹には三本の指のような物が、おいでおいでをしている様にぶらさがっていました。風が吹く薄暗い夕方などは薄気味悪いものだったそうです。
聞くところによると…………