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里神楽 布多天神の里神楽


 調布駅北口の天神通りを抜け、甲州街道を渡ると布多天神社がある。その布多天神の毎月25日の市で催されるのが、斉藤社中による里神楽の奉納だ。
 つい数十年前までは、市の日には境内には人が集い、お神楽はいつも黒山の人だかりができたという。「昔は大人数で長くやったもんです。それがだんだんみんな忙しくなっちゃって…」と神楽師の皆さんも少し寂しそうだ。「でも毎月やれるというのは、修行になります」。
 神楽師は、〈立役〉といわれる、八又の大蛇を退治するスサノオや、ヤマトタケルなどのヒーロー、ヒロインの役、また〈端事〉といわれる狂言回しを演じる脇役、獅子や天狗、そして囃子の笛、太鼓など、一通りなんでもやれるようにならなくてはいけない。「特に端事は、型がないので自分でつくっていくしかないんです。これが難しい」。神楽はもともと口づたえで伝えられてきたもので、みんな必死で覚えたという。「でも昔の人は、何とも言えない魅力ある芸をもっていましたねぇ。そういう名人がたくさんいたんです」。
 「時代の変遷と共に変わるのは仕方がないことですが、伝えられるものは伝えていきたい」とは布多天神の宮司・野澤康次郎さん。斉藤社中の神楽師の皆さんは最後に言う。「いつか布多天神だけのお神楽をつくってみたいでねぇ」。